詩人、野口雨情

大子小唄

常陸大子でノーホホホイ
濡した袖はヨソレソレソレヤンレサホイ
水戸や湊ぢや乾きやせぬ
乾きやせぬチョイチョイ
ヤンレ見せませう流れの水を
川は久慈川瀬は早瀬
アリヤセノセノセチョイチョイ
(第二聯以下囃子詞省略)

春の大子は 十二所さまの
お庭前まで花が咲く 花が咲く
ヤンレ花なら大子の町の
愛宕山からちらちらと

大子見落とし 若鮎さへも
石がじやますりや瀬でとまる 瀬でとまる
ヤンレ押川せかれる水は
どこで今宵はとまるやら
つつじ桜は 矢祭山の
松や雑木の中で咲く 中で咲く
ヤンレ恥かし木の葉でさへも
秋の紅葉で色がつく

秋はうれしや 矢祭山に
浮世忘れて紅葉狩り 紅葉狩り
ヤンレ夏なら青葉はかほり
岩の根あがり松ばかり

空の月さへ 月居山の
山の蔭から出てのぞく 出てのぞく
ヤンレ月さへあの袋田の
滝に見とれて出るのやら

八溝山から 久慈川さへも
流れ流れりや海に出る 海に出る
ヤンレ行きませう男体山へ
 長い久慈川一眺め


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